TUOB07  電子加速器②/真空  8月10日 会議室B 18:00 - 18:20
高純度無酸素Tiを内面に蒸着したICF70クロスの真空排気特性評価
Evaluation of the pumping properties of ICF70 4-way cross fitting inner surfaces of which were deposited with high purity oxygen-free Ti
 
○間瀬 一彦(高エ機構、総研大),菊地 貴司(高エ機構),簑原 誠人,相浦 義弘(産総研)
○Kazuhiko Mase (KEK, SOKENDAI), Takashi Kikuchi (KEK), Makoto Minohara, Yoshihiro Aiura (AIST)
 
最近、我々は10–8 Pa台の超高真空下での昇華によりTiを蒸着して高純度N2を導入した真空容器は、真空排気、185℃、6時間ベーキング、真空封止すると10–7 Pa台の超高真空を維持すること、真空封止下でH2、H2O、O2、CO、CO2の分圧は10–8 Pa程度以下に保たれること、高純度N2導入、大気曝露、真空排気、185℃、6時間ベーキングのサイクルを30回くりかえしてもTi蒸着膜が残留ガスを排気することを報告した。これに対して、先行研究ではDCマグネトロンスパッター法で成膜されたTi蒸着膜が残留ガスを排気するには350~400℃の加熱が必要と報告されている。高純度無酸素Ti蒸着膜の活性化温度が185℃まで下がった要因としては、高純度Ti表面に高純度N2を導入することにより表面TiNが形成されることが考えられる。本研究ではTi蒸着装置に液体窒素トラップを設置することで、より高純度のTiをICF70クロスの内面に蒸着した。高純度N2を導入後、大気曝露して真空排気特性を評価した結果、100~108℃、6時間加熱後に室温に戻して真空封止して場合においても10–7 Pa台の超高真空を維持することを確認した。本研究で示した高純度無酸素Ti蒸着法によりベーキング温度の大幅な低下が可能となり、NEG蒸着真空容器の活性化処理が極めて容易となる。このため、イオンポンプや従来のNEGポンプを設置しなくても封じきり状態で超高真空を維持できるので、加速器、放射光ビームライン、電子顕微鏡などに広く応用できる。