THP004  加速器応用・産業利用/粒子源  8月12日 会議室P 13:10 - 15:10
小型ECRイオン源の引出電極位置の最適化
Optimization of puller position at compact ECR ion source
 
○村松 正幸(量研機構),神谷 隆,岡田 高典(加速器エンジニアリング),片桐 健,杉浦 彰則,北條 悟,涌井 崇志(量研機構)
○Masayuki Muramatsu (QST), Takashi Kamiya, Takanori Okada (AEC), Ken Katagiri, Akinori Sugiura, Satoru Hojo, Takashi Wakui (QST)
 
量子科学技術研究開発機構量子医科学研究所のサイクロトロン(NIRS-930)では、核医学、生物学、物理学分野における基礎科学・応用研究のためにビームの供給を行っている。主に利用されるイオン種は陽子、ヘリウムである。また、炭素、ネオンなどの重イオンの供給も行っている。これらのイオンの生成には、永久磁石のみで閉じ込め磁場を形成するECRイオン源(Kei-source)を使用している。Kei-sourceはNIRS-930の上部に設置されており、イオン源から引き出されたイオンは低エネルギービームラインを通り、NIRS-930に入射される。今後イオン源としては様々なイオン種の多価イオン生成と、ビーム強度の増強が望まれている。 これまでKei-sourceでは十分なビーム電流が得られていたため、引出電極位置の最適化は行われておらず、He2+の場合FC2-FC3の透過効率は60%程度であった。今回は、Kei-sourceの引出電極を可動化し、引出電極位置の最適化を図りサイクロトロン入射系のビーム透過効率を上げ、サイクロトロン出口のビーム強度増強を図った。引出電極間隔はステッピングモーターを使い、本体室の外からの遠隔操作をできるようにした。可動範囲は6-28 mmである。He2+でビーム試験を行った結果、引出電極間隔を変えたときにFC2-FC3の透過効率が86%まで上がった。