THP001  加速器応用・産業利用/粒子源  8月12日 会議室P 13:10 - 15:10
原子力電池開発に向けたCIS素子の電子線発電挙動の解明
Investigation of electron beam power generation behavior of CIS devices for development of nuclear energy battery
 
○奥野 泰希(東北大学),秋吉 優史(大阪府立大学),今泉 充(宇宙機構)
○Yasuki Okuno (Tohoku Univ.), Masafumi Akiyoshi (Oaska Pref. Univ.), Mitsuru Imaizumi (JAXA)
 
原子力電池は、半導体素子上の放射性物質から放出される放射線により発電するため、電力供給が困難な宇宙環境や、ペースメーカなど人体中のデバイス駆動用 に長時間安定的に電力を供給するために開発が進められている。半導体素子として、先行研究において、太陽電池素子として開発されてきた銅インジウムセレ ン(CIS)素子が有望な素子として期待される。CIS素子は、膜素p-n接合型の大面積の電力用途太陽電池薄子として、既に製品化されている素子である。また、近年、宇宙用電源としての研究も進められており、1 MeV電子線照射においてほとんど劣化せず、高耐放射線性が示されている。エネルギー源となる放射線は、線エネルギー付与効率が高く、素子への照射損傷影響が少ない低エネルギー(500 keV以下)β線放出核種に着目している。しかし、日本では放射性物質の入手・取扱で課題があるため、本研究では、加速器で発生させた放射線により取得した放射線発電挙動をシミュレーション解析することにより原子力電池としての特性を明らかにする開発手法を構築する。CIS素子の電子線発電特性を解明するため、大阪府立大学コッククロフトウォルトン型電子線加速 器にてin-situ測定の装置を整備し、電子線誘起電流を取得できる体型を構築した。また、電子線照射中の放射線誘起電流を取得し、CIS素子の放射線発電特性について取得した。