THOB04  ビームダイナミクス・加速器理論/粒子源  8月12日 会議室B 11:10 - 11:30
銅合金を用いたSuperKEKB陽電子源用フラックスコンセントレータ
A new flux concentrator made of Cu alloy for the SuperKEKB positron source
 
○榎本 嘉範,阿部 慶子,岡田 尚起,高富 俊和(高エネ研)
○Yoshinori Enomoto, Keiko Abe, Naoki Okada, Toshikazu Takatomi (KEK)
 
KEK電子陽電子入射器ではタングステンターゲットで生成される陽電子を下流の加速管のアクセプタンスにマッチさせ効率よく加速するために、フラックスコンセントレータと呼ばれるマッチングデバイスを用いている。フラックスコンセントレータは内面がテーパー状に加工されたパルスソレノイドコイルの一種と考えられる。数Tの磁場を発生させるため、10 kA程度のパルス電流を流す必要があるが、これに伴い大きなローレンツ力が生じコイルが変形することがある。これを避けるために無酸素銅ではなく銅合金を用い、適切な熱処理をすることによって、ロウ付け加工後でも高い耐力を保った状態で、コイルを製作することができるようになった。今回採用した銅合金はロウ付け性も良く、フラックスコンセントレータに限らず、高い電気伝導率とともに機械的な強度、耐力が求められるような大電力デバイスにも幅広く応用可能なものと考えられる。材料試験の結果とともに、この合金を用いたフラックスコンセントレータの製作、さらに製作したフラックスコンセントレータの導入による陽電子の生成効率向上について報告する。