MOP011  加速器土木・放射線防護/真空  8月9日 会議室P 12:50 - 14:50
PFリング入射部高度化改造における真空システム更新
Vacuum system renewal for the PF-ring injection-section upgrade
 
○谷本 育律,野上 隆史,高井 良太,内山 隆司,上田 明,満田 史織,⻑橋 進也,原田 健太郎,帯名 崇,本田 融(KEK)
○Yasunori Tanimoto, Takashi Nogami, Ryota Takai, Takashi Uchiyama, Akira Ueda, Chikaori Mitsuda, Shinya Nagahashi, Kentaro Harada, Takashi Obina, Tohru Honda (KEK)
 
PFリングでは2020年に入射効率改善とメンテナンス性向上を主目的とした入射部の高度化改造を行い,セプタム2(S2)電磁石とその周辺真空チェンバやビームモニタを更新した。旧S2真空チェンバはin-vacuum型パルス電磁石を格納する入射路真空槽にセプタム壁やSUS箔製ビーム窓を介して蓄積ビーム路が結合された一体型であり,2015年以降は蓄積リング側にある放射光吸収板の水冷配管から度々リークを起こしていた。新しい入射ビームチェンバにはin-air型新S2電磁石内に格納可能な小口径角型湾曲ダクトを採用し,超高真空側の蓄積ビームチェンバとはair gapを介して分離させた。本湾曲ダクトは渦電流によるパルス磁場の減衰と遅延を低減させるため,電気抵抗率がSUS304の約1.7倍のインコネル718製とし,厚さも0.3mmまで薄くして電気抵抗を高めている。さらに,固溶化処理インコネルはSUSの約2倍の引張強度を有するため堅牢性の向上にも寄与している。湾曲ダクトの下流側に2種類のビームモニタ用SUSチェンバを溶接し,その最下流部には0.2mm厚のSUS製出射窓を設置した。このSUS窓は鏡面加工してOTR光を発生しやすくすることで常時プロファイルモニタとしても利用している。一方,蓄積ビームチェンバは高い熱伝導度と高い機械強度を兼ね備えるアルミ合金製とし,セプタム壁側への放射光パワーを効率的に吸収させている。これらの改良によって入射効率に影響する入射点での各ビーム軌道を改善させた。