MOOA03  加速器応用・産業利用  8月9日 会議室A 16:30 - 16:50
レーザー加速イオンの超伝導シンクロトロンへの直接入射の検討Ⅳ
Direct injection of laser-accelerated ions into a superconducting synchrotron IV
 
○野田 悦夫,白井 敏之,岩田 佳之,水島 康太,野田 章,近藤 公伯(量研機構),藤本 哲也(加速器エンジニアリング)
○Etsuo Noda, Toshiyuki Shirai, Yoshiyuki Iwata, Kota Mizushima, Akira Noda, Kiminori Kondo (QST), Tetsuya Fujimoto (AEC)
 
量研機構では、超伝導技術とレーザー加速技術を用いて重粒子線がん治療装置の小型化を目指す量子メスプロジェクトを進めている。その一環として、レーザー加速イオンの超伝導シンクロトロンへの直接入射に関するフィージビリティスタディを行っている。これまで、Beam Transportとパルス圧縮以降のレーザー光学系とビーム発生チャンバーをシンクロトロンの内側に設置することを想定して、Beam Transportを設計し、シンクロトロンでの最終的な補足粒子数を軌道計算により調べてきた。レーザー加速イオンで治療に必要な粒子数を得るためには、利用する粒子の速度広がりが10%程度必要となるため、位相回転によるエネルギー圧縮を行い、さらに、空間電荷効果を少しでも低減するために、位相回転の位置をできるだけ後ろに持ってくる設計を行った。検討の結果、最終捕捉粒子数の減少にはシンクロトロン周回中での空間電荷効果が最も大きく寄与することが分かった。これまでは、計算を簡単にするため空間電荷の大きさが少し過大評価となる方向で計算をしていた。今回、周回ごとにアクセプタンス内の粒子数を調べることで空間電荷効果を評価した。その結果、予想通り最終補足粒子数が増加し、加速イオンのエネルギー広がり、レーザーによる生成粒子のバラツキ等を考慮しても目標とする1E8個の粒子数が最終的に捕捉できることが、今回の計算で確かめられた。各パラメータ依存の結果も含め報告する。