MOOA02  加速器応用・産業利用  8月9日 会議室A 16:10 - 16:30
山形大学医学部東日本重粒子センター建設の現状 (3)
Construction status of East Japan Heavy Ion Center, Faculty of Medicine, Yamagata University (3)
 
○岩井 岳夫,想田 光,金井 貴幸,宮坂 友侑也,李 聖賢,柴 宏博(山形大・医),勝間田 匡(加速器エンジニアリング),佐藤 啓,佐藤 慎哉,上野 義之,根本 建二(山形大・医)
○Takeo Iwai, Hikaru Souda, Takayuki Kanai, Yuya Miyasaka, Sung Hyun Lee, Hongbo Chai (School of Medicine, Yamagata Univ.), Masashi Katsumata (AEC), Hiraku Sato, Shinya Sato, Yoshiyuki Ueno, Kenji Nemoto (School of Medicine, Yamagata Univ.)
 
山形大学医学部では2017年に重粒子線治療施設建設プロジェクトを開始した。主加速器は普及小型重粒子線治療装置の設計を踏襲した430 MeV/uシンクロトロンであり、水平ポートのみの固定照射室1室と、超伝導回転ガントリー照射室1室の計2室で炭素線による治療を実施する。 新規要素としては、放医研・東芝で開発された大偏向角の小型スキャニング電磁石を採用したことが挙げられる。これにより建屋の小型化および超伝導回転ガントリーの小型化が実現した。照射装置にレンジシフタを設置せず、シンクロトロンで約600段のエネルギーをスピル内変更するフルエネルギースキャンを行うことも新たな試みである。シンクロトロン偏向電磁石は従来よりも磁極間隙を狭くすることで、大幅な省電力化を実現している。建設状況については、2019年5月に建屋が竣工、2019年8月に装置が完成した。超伝導電磁石や建屋設備のトラブルなどでプロジェクトは当初予定より1年程度遅延していたが、2021年2月に固定照射室の治療運用を開始した。固定照射室は前立腺癌の保険診療を主目的に使用され、予約患者数は順調に増加している。固定照射室での治療と回転ガントリー照射室のコミッショニングを並行して進め、2021年夏には回転ガントリーを使用した治療を開始する予定である。講演では、最新のセンター運用状況について報告する。