WEPP38  ポスターセッション①  9月2日 ポスター会場 12:40-14:40
SuperKEKBでの大電力RF分配系におけるビーム負荷差異による空洞間位相調整
Phase adjustment between cavities with beam loadings disparity in high power RF distribution system at SuperKEKB
 
○小林 鉄也,赤井 和憲,阿部 哲郎,榎本 舜,中西 功太,西脇 みちる,渡邉 謙(高エネ研)
○Tetsuya Kobayashi, Kazunori Akai, Tetsuo Abe, Shun Enomoto, Kota Nakanishi, Michiru Nishiwaki, Ken Watanabe (KEK)
 
SuperKEKB加速器では、クライストロン(KLY)1本で2式の空洞を駆動するシステム(1:2ステーション)が複数ある。この場合、加速電圧は2空洞のベクターサム信号を用いて制御されるが、ビームに対する2空洞間の位相差は大電力RF系(立体回路)の線路長で決まる。SuperKEKBのようにビーム電流が非常に大きな蓄積リングの場合、この空洞間位相は非常に重要である。最初のビーム蓄積前には空洞pickup信号を直接的に測定・比較して立体回路の線路長を合わせ(それで制御系を校正し)、2016年から問題なくコミッショニングが続けられた。しかし昨年ある1:2ステーションで何らかの理由で空洞間位相(あるいは校正)が変わっている(ビーム負荷バランンスが大きくずれた)ことが分かり、このビーム負荷(反射パワー等)の違いから、空洞間位相差を推定し、位相(立体回路移相器)の調整を行なった。この調整方法は運転中(ビーム積み上げ時)のデータを用いるだけで、特別な加速器トンネル入域やビーム・スタディ時間は一切必要としない。  本発表では、上記のように2空洞ベクターサム制御下において、ビーム負荷の差異から空洞間位相差を推定する方法、それによる立体回路調整でビーム負荷バランスが改善した例を紹介する。また、別の方法として、シンクトロン振動の周波数変化により空洞間位相差を確認したダミピング・リング(小電流)での例も紹介する。