WEPP30  ポスターセッション①  9月2日 ポスター会場 12:40-14:40
放射光リングPF-AR用加速空洞の高次モード引き出し用ケーブル系の更新
Renewal of higher-order-mode extraction cables of rf cavities for the PF-AR
 
○坂中 章悟,高橋 毅,山本 尚人,内藤 大地,渡邉 謙(高エネルギー加速器研究機構)
○Shogo Sakanaka, Takeshi Takahashi, Naoto Yamamoto, Daichi Naito, Ken Watanabe (KEK)
 
6.5 GeV放射光リングPF-ARでは、11個の加速セルを持つAPS (Alternating Periodic Structure)型加速空洞6台を用いて、ビームの加速に必要な508.57 MHz, 16 MVのRF電圧を発生している。APS空洞の各加速セルには高次モード結合器が取り付けられ、ビーム不安定性を引き起こす恐れのある高次モード(HOM)を減衰している。高次モード結合器から引き出された高次モードの電磁波は、WX-20D規格の同軸ケーブル(HOMケーブル)を通して水冷式3kWダミーロードに導かれ、そこで消費される。近年、PF-ARの平均ビーム電流の向上とHOMケーブルの老朽化により、運転中にHOMケーブルが発熱し損傷する事例が数件発生した。この問題に対処するため、2019年夏にPF-ARで使用しているHOMケーブル70本を全数更新した。合わせて、水冷式3 kWダミーロード70台のオーバーホールと高次モード結合器のポリエチレン部品の交換を行った。これらにより、発熱の原因と考えられる劣化したポリエチレン部品を一新し、HOMケーブルの設計も改良した。また、発熱の兆候をいち早く察知するため、HOMケーブルの温度モニターおよび温度スイッチの増設を行うと共に、温度モニターシステムを更新した。本発表では、近年のHOMケーブルの故障事例とHOMケーブル系の更新について報告する。