WEOT04  ハドロン加速器  9月2日 講演会場2 16:10-16:30
自動サイクロトロン共鳴加速法を用いた陽子加速器の概念設計
Conceptual design for proton accelerator with cyclotron auto-resonance
 
○原 隆文,福田 光宏,神田 浩樹,依田 哲彦,中尾 政夫,安田 裕介(RCNP),篠塚 勉,伊藤 正俊,松田 洋平(CYRIC),倉島 俊,宮脇 信正,涌井 崇志(QST)
○Takafumi Hara, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Tetsuhiko Yorita, Masao Nakao, Yusuke Yasuda (RCNP), Tsutomu Shinozuka, Masatoshi Itoh, Yohei Matsuda (CYRIC), Satoshi Kurashima, Nobumasa Miyawaki, Takashi Wakui (QST)
 
近年、原子炉に代わる加速器ベースの中性子源の開発が進められており、加速器のさらなる大強度化が求められている。約500 keVまでと低エネルギーながら20 Aもの大強度の電子を加速することに成功した加速法に自動サイクロトロン共鳴加速法がある。自動サイクロトロン共鳴加速法は磁場中を回転する荷電粒子と同じ角速度で回転する電場を発生させ、荷電粒子をその回転方向と同じ向きに常に加速する方法である。我々は自動サイクロトロン共鳴加速法を陽子に適用し、大電流の陽子を数十MeVまで加速する陽子加速器の開発を目指している。サイクロトロン共鳴周波数は磁束密度に比例し、粒子の質量に反比例するため、電子の2000倍の質量を持つ陽子に対するサイクロトロン共鳴加速器の実現には強力な磁場の発生が鍵となる。OPERA-3Dを用いた有限要素電磁場解析により高温超伝導線材を利用したコイルシステムおよびTE111モードの高周波用の共振空洞を設計し、8 Tの静磁場と121 MHzの円偏光を持つ電磁場の設計を行った。さらにこの静磁場と電磁場中の陽子ビームの挙動をOPALによって計算し、30 MeVまでの陽子の加速を確認した。また陽子のバンチに含まれる電荷を増大し、100 mA相当のビームに対しても十分に小さな横方向の広がりで加速を行えることを示した。本発表では、磁場と共鳴空洞の計算と、その電磁場中の陽子の軌道計算結果について発表する。