WEOT02  ハドロン加速器  9月2日 講演会場2 15:30-15:50
COMET実験に向けたJ-PARCメインリングの陽子ビームのエクスティンクション改善と補正キッカーの最適化
Improvement of proton beam extinction and optimization of the compensation kicker magnet of J-PARC main ring for the COMET experiment
 
○野口 恭平,東城 順治(九大理),西口 創(KEK素核研),冨澤 正人(KEK加速器)
○Kyohei Noguchi, Junji Tojo (Kyushu University), Hajime Nishiguchi (KEK IPNS), Masahito Tomizawa (KEK ACCL)
 
COMET実験は、ミューオン電子転換過程を探索する事で新物理の発見を目指す国際共同実験であり、大強度陽子加速器施設J-PARCにおいて建設中である。COMET実験では遅い取り出しにおいて、ビーム入射直後に発生する背景事象を抑制するためにパルス陽子ビームを用い、パルス内の陽子数に対するパルス外の陽子数の比率であるエクスティンクションが10^-10未満であることを要求している。十分長い陽子ビームの入射間隔を確保するために、J-PARCメインリング(MR)の9バケツ中4つのみに陽子を詰めるが、空のバケツに残留陽子が入射されてしまうことがエクスティンクションを悪化させる要因となる。これを受け、MRの入射キッカーの励磁タイミングを変更し、残留陽子をMRの空のバケツへ入射させないエクスティンクションの改善手法を計画している。シミュレーションにおいてこの手法を評価した結果、エクスティンクションの要求は達成可能であるが、MRの入射キッカーの反射波が問題となり得ることが判明した。速い取り出しにおいては同様の問題を補正キッカーによって解消しているが、チューンの異なる遅い取り出しにおいて最適化は実施されていなかった。本講演では、エクスティンクションの改善手法とシミュレーションによる評価結果、ならびに加速器調整や立ち上げにおいて実施した補正キッカーの最適化結果について報告する。