WEOOP03  合同セッション  9月2日 講演会場1 10:10-10:40
ラジオアイソトープの製造と応用 ~新元素の探索からがん治療まで~
Production and Applications of Radioisotopes - Search for New Elements through Therapy of Cancer -
 
○羽場 宏光(理化学研究所仁科加速器科学研究センター)
○Hiromitsu Haba (RIKEN Nishina center)
 
ラジオアイソトープ(RI)は、トレーサーや放射線源として物理学、化学や生物学の基礎研究から医療、農業、工業などの応用分野にわたり幅広く利用されている。本講演では、国内外の加速器施設におけるRI製造と応用研究の現状について概説する。我々の研究グループでは、理化学研究所(理研)RIビームファクトリー(RIBF)の重イオン加速器を用いて、有用RIの製造技術開発と様々な研究分野におけるRI応用研究を推進している。AVFサイクロトロンと重イオン線形加速器を用いて、ベリリウム(Be)から107番元素ボーリウム(Bh)まで、元素周期表のほぼ全領域を網羅する100種以上のRIを製造している。一方、理研リングサイクロトロンでは、核子当たり135 MeVまで加速した高エネルギーの窒素14ビームをチタン、銀、金やトリウム標的に照射し、標的核の核破砕反応によって多数のRIを同時に製造することができる。我々が製造するRIは、国内外の研究者と共同で、新元素の化学からがんの診断・治療まで、様々な分野における応用研究に用いられている。本講演では、日本アイソトープ協会や科研費短寿命RI供給プラットフォーム等を通じた理研RIの頒布事業についても紹介する。