WEOO08  高周波源・LLRF  9月2日 講演会場1 17:50-18:10
Sバンド長パルスクライストロン出力窓放電のパルス内遮断の効果
Effect of shut-off of RF window breakdown during the long-pulse operation of S-band klystron
 
○田中 俊成,境 武志,早川 建,早川 恭史,住友 洋介,高橋 由美子,野上 杏子(日本大学電子線利用研究施設)
○Toshinari Tanaka, Takeshi Sakai, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa, Yoske Sumitomo, Yumiko Takahashi, Kyoko Nogami (LEBRA, Nihon University)
 
日大FELリニアックのクライストロン(PV-3030A3)は導波管真空排気強化によりRF窓の放電を抑制しRFパルス幅20µs、ピーク出力20MW、12.5ppsでの動作を実現し運用してきた。しかし長期的にはRF窓の放電と破損が避けられず、この数年は対策の一つとして、放電で導波管内真空度が悪化した際にクライストロンモジュレーターのトリガーを遮断する措置を採ってきたが十分ではなかった。一旦生じた放電が長いRFパルスの終端まで持続した結果、セラミックの極端な温度上昇を招き、膨張による応力で最後には破損すると推定された。そこで、RF窓下流の出力モニター波形に現れる放電時の信号レベル変化を検出し、クライストロン入力RFを短時間で遮断し放電を停止する、クライストロン保護システムを製作・導入した。現状では放電検出後約250nsでクライストロン入力RFを遮断し、概ね400ns以内に出力が停止している。また後続のRFパルス幅を抑制し、その後徐々に自動回復させる等の機能も持つ。すでに破損し使用が危ぶまれていたクライストロン2台は、RF窓が放電しても導波管真空度の悪化が緩和され、またパルス間の放電持続も抑制され、停止せずに速やかに正常な運転が回復するため利用実験の遂行に貢献している。この保護システムは加速管側の放電による反射RF増大時にも対応する。さらに利用実験への便宜のため、放電時のクライストロン動作と光源の状況を測定系に反映させる対策も検討中である。