THPP51  ポスターセッション②  9月3日 ポスター会場 13:10-15:10
グリッド付き熱カソードを用いた低エミッタンス電子銃システム
Low-emittance electron gun system with gridded thermionic-cathode
 
○安積 隆夫,稲垣 隆宏(RIKEN),大竹 雄次,谷内 努(JASRI),西森 信行(QST),馬込 保,柳田 謙一(JASRI),田中 均(RIKEN)
○Takao Asaka, Takahiro Inagaki (RIKEN), Yuji Otake, Tsutomu Taniuchi (JASRI), Nobuyuki Nishimori (QST), Tamotsu Magome, Kenichi Yanagida (JASRI), Hitoshi Tanaka (RIKEN)
 
SX-FEL用3GeV線型加速器の電子銃システムは、2 mm mrad以下の低エミッタンスビームが要求される。また、長期間の安定運用の観点から、高い耐久性と信頼性を備えたシステム構築が肝要である。こうした点を踏まえ、市販のグリッド付き熱カソードを備えた50kV電子銃と高周波空胴を組み合わせた低エミッタンスRF熱電子銃システムを開発した。グリッド近傍のエミッタンス悪化は、グリッド周辺の電場歪み、すなわちレンズ効果により引き起こされる。この電場分布がビーム軸に平行となるように、カソード、グリッド、アノードの各電極間電場強度を最適化することで、低エミッタンスビーム生成が可能となる。50 kV電子銃で得られた低エミッタンスビームは、直ちに高周波空胴により500keVまで加速することで、空間電荷効果によるエミッタンス増大を回避する。本電子銃システムの実証試験の結果、1.7 mm mrad / 0.6 nCの低エミッタンスビーム生成に成功した。本論では、電子銃システムの概要、ビーム試験の詳細を示し、グリッド近傍の電場分布によるエミッタンスへの影響について議論する。