THPP49  ポスターセッション②  9月3日 ポスター会場 13:10-15:10
Cs-K-Sbのヘテロ接合によるGaAsフォトカソードのNEA活性化
NEA activation of GaAs photocathode by Cs-K-Sb heterojunction
 
○小杉 直(名大工),郭 磊,高嶋 圭史,真野 篤志,保坂 将人(名大SRセンター),加藤 政博(広島大学)
○Naoki Kosugi (Nagoya Univ.), Lei Guo, Yoshifumi Takashima, Atsushi Mano, Masahito Hosaka (SR Center Nagoya Univ.), Masahiro Katoh (Hiroshima Univ.)
 
NEA-GaAsフォトカソードは,低エミッタンス,高量子効率,赤外線領域での電子励起などの特徴を持ち,先端加速器と電子顕微鏡用高性能電子源として有力な候補と考えられている.しかしながらCs-O蒸着により生成されたNEA表面は高い要求真空度や短寿命が課題となっている.これは残留ガスの表面吸着やイオン化した残留ガスの逆流などのプロセスにより貧弱なCs-O薄膜が破壊するためである.本研究では,丈夫なマルチアルカリフォトカソードであると実証されたCsK2Sbに着目し、ヘテロ接合によるp型GaAsのバンド構造と組み合わせることでNEAとなる可能性を考慮し,GaAs基板にCs-K-Sbを蒸着させることで丈夫なNEAフォトカソードの生成を試みた.その結果,532nmレーザーでの量子効率は最大で8%程度と良好な値を示し,GaAs上に高い結晶性を有するCsK2Sb薄膜を生成できることを確認した.またダーク寿命において1週間以上に高QEを維持できることも確認できた.一方で低エミッタンスと偏極した電子励起が期待される赤外線領域での量子効率は低く,現在はこの原因解明を試みている.