THPP10  ポスターセッション②  9月3日 ポスター会場 13:10-15:10
電子線形加速器を用いたRa-225/Ac-225製造のためのウラン廃棄物由来Ra-226ターゲット原料の基礎分析
Analysis on Ra-226 from uranium waste material as an irradiation target to produce Ra-225/Ac-225 by photonuclear transmutation with an electron LINAC
 
○三好 邦博,尾関 政文,上坂 充(東大工)
○Kunihiro Miyoshi, Masafumi Ozeki, Mitsuru Uesaka (U-Tokyo)
 
α線は高い線エネルギー付与を持つため生物作用が強く、組織内の飛程も短いため、分子標的薬と組み合わせ放射性医薬品化することで微小転移癌などの治療に有効だと考えられている。α線放射核のうちAc-225(半減期10日)は特に注目度が高く、世界的に臨床需要が高い核種であるが、供給が限られているという課題がある。その解決策として東大原子力国際専攻では、電子線形加速器から発生するγ線をRa-226(半減期1600年)に照射し(γ,n)光核反応によってRa-225(半減期15日)を生成することで、その娘核種であるAc-225の製造を目指し、一連の工程の検討を行なっている。γ線照射ターゲットであるRa-226は、密封小線源治療用の核種として過去利用されており日本国内でも流通していたが、現在ではCo-60やIr-192などの他の治療用線源に代替され、入手が困難になっている。そこで我々はRa-226がウラン廃棄物中に存在することに着目し、人形峠に貯蔵されている鉱滓廃棄物からRa-226を抽出することで、ターゲット原料を調達するという実現可能性の検討に着手した。本発表では、数十グラム程度の鉱滓試料の分析を行い、Ra-226放射能密度、化学組成、抽出効率など、Ra-226ターゲット生成の実現可能性に関連する指標について報告を行う。また、ターゲット中でRa-226を保持する担持体材料の検討状況や、Ra-225/Ac-225の製造量シミュレーション結果についても併せて報告を行う。