THOT06  光源加速器①  9月3日 講演会場2 11:00-11:20
長マクロパルス光陰極運転による京都大学中赤外自由電子レーザの高性能化
Improvement of KU-FEL performance by long macro-pulse photocathode operation
 
○全 炳俊,大垣 英明(京大エネ研),羽島 良一(量研)
○Heishun Zen, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.), Ryoichi Hajima (QST)
 
京都大学中赤外自由電子レーザ(KU-FEL)では、超短パルス高強度中赤外レーザを用いたアト秒硬X線高次高調波発生(HHG)を目指し、KU-FELの性能向上に向けた研究開発を行っている。将来的には新しい光陰極高周波電子銃を追加し、バンチ電荷量1nC程度のマルチバンチ電子ビームを用いて中赤外FELを発振させ、HHGを行う予定である。本研究では、その前段階として、既設の高周波電子銃のLaB6陰極に外部から短パルスレーザを照射し、光陰極運転する事で、FEL発振に使う電子バンチの電荷量を増大させ、どの程度、強度および電子ビームからレーザ光への変換効率(引き出し効率と呼ぶ)が増大するかを試験した。結果として、マクロパルス長7 μs、バンチ繰り返し29.75 MHz、バンチ電荷量 190 pCの電子ビームを発生させ、FELを発振させることにより、波長11μmにおいて1ミクロパルス当り50 μJの強度を得た。また、引き出し効率測定により、最大9.4%の引き出し効率が達成されていることが確認された。これまでに共振器型自由電子レーザで確認された最高の引き出し効率はJAERI-FELの9%であり、今回得られた結果はそれを上回る世界最高記録である。本研究は文部科学省の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP、JPMXS0118070271)によるものである。