FRPP54  ポスターセッション③  9月4日 ポスター会場 10:30-12:30
マルチイオン供給用新規ECRイオン源の開発に向けた炭素イオン生成試験
Beam test of carbon ion production for development of new compact ECR ion source for multi ion therapy
 
○鈴木 太久,高橋 勝之,大内 章央,佐々野 利信,白石 直浩(加速器エンジニアリング(株)),村松 正幸,岩田 佳之(量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所)
○Taku Suzuki, Katsuyuki Takahashi, Fumihisa Ouchi, Toshinobu Sasano, Tadahiro Shiraishi (AEC), Masayuki Muramatsu, Yoshiyuki Iwata (QST-NIRS)
 
現在、放医研では数種類のイオンを標的に照射することで、がん治療における生物学的効果比が理想的なLETおよび線量分布を形成するマルチイオン照射を推進している。マルチイオン照射に用いられる各イオン種について、複数のイオン源を専有すれば比較的容易に切り替えが可能となるが、普及型の治療施設では、コストと運転・メンテナンスの観点から、1台のイオン源から複数のイオンビームを供給することが望ましい。そこで我々はマルチイオン照射で利用する4種イオン(He2+、C4+、O3+、Ne7+)に対応する、永久磁石型ECRイオン源の新規開発を行っている。これまでに既存のミラー電磁石型ECRイオン源(NIRS-HEC)で試験を行い、同一の磁場において4種イオンの要求値を満たすビーム電流が得られることを確認している。 現在、普及型治療施設において、治療供給以外に生物・物理実験にビームを利用したいと言う要求がある。また、入射器のコストダウンを考慮すると、イオン源において炭素以外のイオンを生成するとともに、治療供給時よりも大強度のビームが必要となる。そこで今回は、新規イオン源を治療以外の用途にも応用できるかを確認するために、NIRS-HECを用いて新規イオン源のミラー磁場を再現し、C4+及びC5+の生成を行う事とした。複数のガス種を用いてアフターグローで調整を行った結果、C4+においては800μA、C5+では500μAと実験供給を行うのに十分なビーム電流を得られる事が分かった。