FRPP49  ポスターセッション③  9月4日 ポスター会場 10:30-12:30
重粒子線小型シンクロトロン用超伝導電磁石の設計 II
Design of the superconducting magnet for a compact heavy-ion synchrotron II
 
○藤本 哲也(加速器エンジニアリング),岩田 佳之,水島 康太,阿部 康志,浦田 昌身,野田 悦夫,白井 敏之(量研機構放医研)
○Tetsuya Fujimoto (AEC), Yoshiyuki Iwata, Kota Mizushima, Yasushi Abe, Masami Urata, Etsuo Noda, Toshiyuki Shirai (QST)
 
普及型と呼ばれる重粒子線がん治療施設が国内に普及しつつあるが、専用の建屋を必要とする巨大で高コストな装置であり、これが更なる普及の妨げとなっている。そこで量研機構放医研では更なる装置の小型化、低コストを実現する量子メスの開発を進めている。量子メスプロジェクトの一つは超伝導技術を用いたシンクロトロンの開発である。現在シンクロトロン用超伝導電磁石の磁場設計の最適化を進めている。本シンクロトロンでは0.3Tから3.5 Tの磁場を連続的に10秒周期で上げ下げを実現する冷凍機伝導冷却方式を採用し、従来型シンクロトロンの半分以下の周長28 mで炭素イオンを4 MeV/uから最大430 MeV/uまで加速することを目標としている。超伝導線には開発中のφ1mm低損失型NbTiモノリス線の使用を想定し、二極磁場の起磁力を下げるため断面が楕円形状のコイル配置を考えた。またマルチターン入射のシミュレーションからアパーチャーサイズの見直しを行い、更にヨーク形状を工夫することで高磁場側での磁場安定度の改善を狙うとともに起磁力の低減を実現している。その他、ダイナミックアパーチャーを広く確保するための多極成分補正やコイルエンドに生じる六極磁場成分の低減に関する検討も行ったので本発表で報告する。