FRPP29  ポスターセッション③  9月4日 ポスター会場 10:30-12:30
S’IS構造による加速空洞の高性能化に向けたNb3Sn薄膜の成膜プロセス最適化
Optimization of Nb3Sn thin film deposition process for high performance of accelerated cavity by S'IS structure
 
○永田 智啓,伊藤 亮平((株)アルバック),井藤 隼人,早野 仁司,久保 毅幸,佐伯 学行,片山 領(高エネ研),岩下 芳久(京大 化学研)
○Tomohiro Nagata, Ryohei Ito (ULVAC, Inc.), Hayato Ito, Hitoshi Hayano, Takayuki Kubo, Takayuki Saeki, Ryo Katayama (KEK), Yoshihisa Iwashita (Kyoto Univ. ICR)
 
近年、超伝導加速空洞内壁面上にさらに超伝導層(Superconductor layer)、または超伝導層に加え絶縁層(Insulator layer)を形成し、S’S構造またはS’IS構造とすることで、加速性能を飛躍的に向上させることができるという理論が提唱されている。この理論予測によれば、超伝導層材としてNb3Snを用いることで、薄膜構造を持たない従来のNb製加速空洞の2倍以上の加速性能向上が期待される。ただし、Nb3Sn薄膜は、Sn含有量の僅かな変化に対して敏感に超伝導特性が劣化するという報告例があり、またNb上もしくは絶縁層上のNb3Sn薄膜の高性能化・膜質向上に関する先行研究例も少ない。S’S構造またはS’IS構造を利用した超伝導加速空洞の実現と、理論実証および理論計算値に近い加速性能の達成のためには、高品質なNb3Sn薄膜の成膜手法・プロセスの確立が求められる。そこで本研究では、Nb上または絶縁層上に高品質なNb3Sn薄膜を形成することを目標とし、NbとSnをスパッタリング法で超多層積層した後にアニーリングを行うことで薄膜の高性能化・結晶性向上を目指した。作製した薄膜は、XRDによる結晶性解析やSEM/EDXによる組成分析・Tc測定による超伝導特性分析などによって評価した。本発表では、成膜手法や膜形成プロセスの詳細や、作製した薄膜の評価結果と考察、およびNb3Sn薄膜の結晶性向上のための技術的知見について報告する。