FRPP03  ポスターセッション③  9月4日 ポスター会場 10:30-12:30
ミュオンサイクロトロンの設計と製作
Design and construction of muon cyclotron
 
○大西 純一,後藤 彰(理研仁科センター),山崎 高幸,永谷 幸則,三宅 康博(KEK物構研),安達 利一(KEK加速器),筒井 裕士,楠岡 新也,恩田 昂,熊田 幸生(住重)
○Jun-ichi Ohnishi, Akira Goto (Riken Nishina Center), Takayuki Yamazaki, Yukinori Nagatani, Yasuhiro Miyake (KEK-IMSS-MSL), Toshikazu Adachi (KEK-ACCEL), Hiroshi Tsutsui, Shinya Kusuoka, Takashi Onda, Yukio Kumata (SHI)
 
J-PARC MLFで生成される極小エネルギー分散の超低速ミュオンを5MeVまでサイクロトロンで再加速することによって透過型ミュオン顕微鏡の実現をめざしている。サイクロトロンは入射エネルギー30keV、取り出し半径262mmで、108MHz(h=2)の加速空洞とエネルギー分散を小さくするための3倍周波数324MHzのフラットトップ空洞を使用する。RFシステムについては別に発表する。電磁石は4セクターで、ヒルギャップ52mm、磁極直径φ698mm、平均磁場0.4T、等時性磁場の目標値は±10-4で、磁場測定を行ってセクター側面のシム厚で調整する。入射ビームの設計エミッタンスは1πmmmrad、パルス幅200psである。トラッキング計算により、エネルギー分散と規格化エミッタンスの増加が小さくなるように、電磁石、中心領域の電極形状、ビーム取り出し用の静電デフレクター(30kV)、passiveタイプの磁気チャンネルを設計した。その結果、取り出しポートでのエミッタンスはH方向(サイクロトロン軌道面)0.44、V方向0.10πmmmrad、エネルギー分散は7.9e-5となった。H方向のエミッタンスは、V方向に比べてdispersionや縦方向とのカップリングにより大きくなっているが、パルス幅の圧縮や入射マッチングにより改善の余地がある。現在、電磁石、RF空洞などの機械部品の製造は完了しており、磁場測定シム調整後に組立、9月からRF系の調整を行って、2020年度内にビームコミッショニングを予定している。