WEPI031  ビーム診断・ビーム制御  7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 13:30-15:30
シングルバンチ不安定性抑制 Head-Tail フィードバックのための bunch-by-bunch Head-Tail キッカー
Bunch-by-bunch Head-tail Kicker for Head-tail Feedback for Single-bunch Instabilities
 
○中村 剛(高輝度光科学研究センター)
○Takeshi Nakamura (JASRI)
 
蓄積リングにおいて、バンチ電流を制限するシングルバンチ不安定性では、バンチの前半(head)が発生するウェーク場によりバンチの後半(tail)がキックされて、バンチの head と tail で異なる位相の振動、すなわち、バンチの重心振動に加えてバンチの前後の傾きの振動 (head-tail 振動)が発生して不安定となる。この不安定性が十分に抑制できればインピーダンスへの要求が緩和されてリング設計の自由度が増し、コスト低減を含めた最適化が容易となるが、電子のような短バンチに対する従来のフィードバックではバンチの重心振動のみの抑制となり、シングルバンチ不安定性への抑制効果は部分的であった。これに対して、昨年の年会ではバンチのheadと tail をhead-tail キッカーを用いて別々にキックする head-tail フィードバックを提案し、その有効性を示すとともに、head-tail 振動を直接観測するためのモニタ回路や、共鳴を用いたhead-tailキッカーの可能性示した。また、重心振動と head-tail 振動に位相相関があることをシミュレーションで示し、それを用いることにより、通常のバンチ重心位置の測定と head-tail キックとの組み合わせによる不安定性の抑制の可能性を示した。今回は、head-tail フィードバックをbunch-by-bunch で行うためのキッカーについて、その最適化および高効率化についての検討結果を示すとともに、head-tailフィードバックの検討のその後の進展を示す予定である。