WEPI010  ビームダイナミクス  7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 13:30-15:30
強収束ラティスにおける低次コヒーレント振動モードの直接的チューン計測
Direct measurement of the tunes of low-order coherent oscillation modes in a strong focusing lattice
 
○伊藤 清一,倉内 太道,檜垣 浩之,岡本 宏己(広大院先端)
○Kiyokazu Ito, Taido Kurauchi, Hiroyuki Higaki, Hiromi Okamoto (AdSM, Hiroshima Univ.)
 
位相空間密度の高いビームは,クーロン場を介して集団的に振る舞うことが知られている.この集団運動は様々な振動モードの重ね合わせとして表現でき,各モードは荷電粒子の密度分布によって決まる振動数を持つ.特定モードの固有振動数と外場の振動数が一定の関係を満たすとビームは共鳴的に不安定化する.そのため,この種の空間電荷効果を熟知することは次世代の高性能ハドロン加速器を設計する上で極めて重要である.線形ポールトラップ(LPT)はイオンプラズマを断面方向には四重極高周波電圧によりを,軸方向には静電場で捕捉する.断面方向の閉じ込め原理は加速器の強収束と全く等価である.したがって,LPTに捕捉したイオンプラズマの物理的性質を調べることで,高密度ビームの集団運動に対する理解を深めることができる.広島大学では小型非中性プラズマトラップシステムS-PODを用い,大強度加速器等における様々な空間電荷効果の実験的研究を進めてきた.本研究ではLPTの四重極電極のうち一組を検出用電極に用い,この電極に流れるイメージ電流によりイオンプラズマの双極モードと四重極モードの振動を検出した.それぞれのモードの特徴や空間電荷効果に起因するチューンデプレッションの決定方法について報告する.