WEPH037  電磁石と電源  7月31日 百周年時計台記念館 国際交流ホール 13:30-15:30
J-PARC 3-50BT B15D電磁石におけるレイヤーショートの経緯と推察
Process and guess of the layer short in B15D magnet of J-PARC 3-50BT line
 
○高野 淳平,白形 政司(KEK)
○Junpei Takano, Masashi Shirakata (KEK)
 
大強度陽子加速器施設J-PARCの二つのシンクロトロンを繋ぐ3-50BTラインには偏向・四極・ステアリングの電磁石が設置されている。これらの電磁石のコイルはホローコンダクターで作られており、コンダクター内を冷却水が通る直接冷却方式を採っている。2019年3月から4月にかけてB15D偏向電磁石のコイル内における漏水が原因と考えられるレイヤーショートが起き、最終的には下流側のシンクロトロンへビームを輸送できない状態となった。今回問題となったB15D偏向電磁石は3-50BTにおいてビームを水平方向に15度曲げるための電磁石であり、鉄芯構造は上下に磁極を持つH型である。磁極に設置されているコイルは1段当たり2層のパンケーキ構造をもつ24巻のコイルが5段連結されており、1磁極当たりの総巻数が120巻となるコイルが設置されている。最初の不具合を検知した後、B15D偏向電磁石に対して各種調査および応急処置を実施し、段間電圧を監視する態勢を整えた上で経過を観察していた。そこから考えられるコイル内で起きていた漏水とレイヤーショートの状況変化についての推察を紹介する。