WEOHS01  特別講演  7月31日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール 18:30-20:00
歴史的な物理実験機器と元素周期表から学ぶ物理・化学教育の歴史
TestPhysics and Chemistry Education from the Perspective of Technological History: Physical Experimental Instrument and Periodic Chart of the Atoms 90 Years Ago
 
○塩瀬 隆之(京都大学総合博物館)
○Takayuki Shiose (The Kyoto University Museum)
 
ドローン、人工知能、ロボットなど、最先端科学技術が次々に開発されて、華々しい未来を予感させるのと同時に、仕事が奪われてしまうかもしれないなど不安も同時に生まれます。しかし、自動機械やロボットにとってかわる仕事がある一方で、また新たな仕事が生み出され、結果として人間の役割は異なるものへと変化していくだけかもしれません。 またそれらの最先端技術も、ただ単に性能や機能がよいというだけで、社会において使われているわけではありません。その時代時代ごとに社会の要請も変化しているためで、その機能への期待と不確実性に対する不安との衝突を乗り越えることができなければ、たとえ課題解決が期待されていたとしても、その技術が使われることなく時間が過ぎていく間にその存在すら忘れられてしまうことも少なくありません。このように技術が社会で受け入れられることを「技術受容」と呼びます。そして、そのような技術受容の過程は、歴史的な技術史資料に着目することで、どのような経緯をたどってきたのかを推し量ることができます。 京都大学には、第三高等学校や京都帝国大学由来の技術史資料が受け継がれており、中でも明治から大正、昭和初期に盛んであった物理教育や化学教育にまつわる実験機器や90年前に発行された元素周期表などが受け継がれており、当時の科学技術教育の一端をうかがい知ることができます。本講演では、歴史的な技術史資料に触れながら、科学的なモノの見方を養うことの現代的な意味と歴史的意義について概説します。