WEOH04  粒子源/加速構造①  7月31日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール 16:40-17:00
改良4分割方式Xバンド高電界加速管の製作
Fabrication of Improved Quadrant-type X-band High-Gradient Accelerating Structures
 
○阿部 哲郎,高富 俊和,東 保男,肥後 壽泰,松本 修二(高エネ研)
○Tetsuo Abe, Toshikazu Takatomi, Yasuo Higash, Toshiyasu Higo, Shuji Matsumoto (KEK)
 
常伝導の加速管では、輪切りに相当するディスクを数十枚積み重ねて接合する製作方法が一般的である。この場合、加速モードによる巨大な表面電流がディスク間の接合面(ビーム軸に垂直)を渡る。一方、4分割方式(または、2分割方式)で製作する加速管では、ビーム軸を含む平面が接合面となるため、当該表面電流が接合面を渡ることは基本的に無いという大きな特徴を持つ。また、加速管製作を4分割方式で行うことにより、大幅なコスト削減に繋がる可能性もある。我々は、2009年、18個セルから成る減衰型Xバンド加速管を4分割方式で製作し、高電界試験を行った。多くの場合、加速勾配 100 MV/m まではコンディショニング出来るのが通常であったが、その加速管では、60 MV/m より高い領域へ到達することが出来なかった。実験的にその原因を突き止めることは出来なかったが、その後のシミュレーション研究等に基づき、従来の4分割方式について考えられる全ての欠点を克服する「改良4分割方式」を考案した。そして、実際にその効果を調べるため、比較的試験遂行の容易な単セル型空洞を改良4分割方式で製作、2017年にKEK/Nextef 施設にて高電界試験を行った。その結果、目標の 100 MV/m を大きく上回り、120 MV/m を超える加速勾配まで達成することが出来た。今回、完全な原理実証のため、24個のセルから成る減衰型加速管を改良4分割方式で製作したので、その結果について報告する。