THPI027  ビーム診断・ビーム制御  8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 13:30-15:30
マルチバンドRFKOシステムのプロトタイプの開発
Development of prototype of multi-band radio frequency knockout system
 
○塩川 智也,奥川 雄太郎,山口 輝人,中西 哲也(日大生産工)
○Tomoya Shiokawa, Yutaro Okugawa, Teruto Yamaguchi, Tetsuya Nakanishi (College of Industrial Technology, Nihon University)
 
シンクロトロンを用いた重粒子線がん治療の照射方法にスポットスキャニング照射法がある。この方法はシンクロトロンからのビーム取り出しにおいて高速なビームの制御が必要であり、それを可能とするためRFKO法が用いられている。従来のRFKOシステムでは数10kHzの狭帯域の高周波電界を使用する。それに対して、広い周波数帯域で複数のベータトロン共鳴周波数帯を含んだマルチバンドスペクトルのカラードノイズ(CN)を信号源に用いることを提案し、出射ビーム強度が一様になることをビームシミュレーションで示した。今回、原理実証実験を若狭湾エネルギー研究センター(WERC)のシンクロトロンで行うために、マルチバンドRFKOシステムのプロトタイプを開発した。WERCシンクロトロンでは、必要な周波数帯域は約1~14MHzであった。RFKOシステムはマルチバンド信号源から、RFスイッチに入力され、位相分配器により180度異なる信号として、それぞれ40W高周波アンプ、Impedance Transformer(IT)、All Pass Network(APN)を通して各RFKO電極に入力される。電極電圧の最大実効値は70Vで、ピーク値はCNデータの実効値とピーク値の比から230Vと推定した。ITはフェライトコアを使用し、変換比を16:1とした。その時のAPNの入力抵抗は800Ωとなる。IT、APN及びITと組み合わせた時のAPNの周波数特性の解析結果と測定結果、プロトタイプの周波数特性の測定結果について報告する。