THPI018  電子加速器  8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 13:30-15:30
次世代放射光リングの入射器として使用するCバンド加速器の機器設計と開発状況
Design and development status of a C-band accelerator system used as an injector for a next-generation SR source
 
○稲垣 隆宏,前坂 比呂和,岩井 瑛人,田中 均(理研 放射光科学研究センター),安積 隆夫,近藤 力,大島 隆(高輝度光科学研究センター),西森 信行(量研機構 次世代放射光施設整備開発センター)
○Takahiro Inagaki, Hirokazu Maesaka, Eito Iwai, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Takao Asaka, Chikara Kondo, Takashi Ohshima (JASRI), Nobuyuki Nishimori (QST)
 
次世代放射光施設では、低エミッタンス3 GeV蓄積リングへの電子入射器として、高電場のCバンド加速器を使用する計画である。ライナックの全長を蓄積リングの直径と同程度の約100 mに収めるため、Cバンド加速器には、SACLAで運転実績のある42 MV/mの加速電場が要求される。このような高電場を得るために、50 MWパルス・クライストロンからの出力をRFパルス圧縮器で4倍に増倍し、2本の2 m進行波型加速管に供給する。これを20組使用する。次世代放射光施設では、建設コストと運転保守コストを抑えることも重要である。そこで、SACLAのシステムをベースとしつつ、構成や仕様について見直しを行い、いくつかの機器は新規開発や改良を行った。RFパルス圧縮器はTE0,1,20空洞を導波管に結合させた単純な構造のものを製作し、大電力試験で性能を確認した。モジュレータの高電圧充電電源については、従来の補充電回路を廃しながらも、主充電回路をデジタルPWM制御することで全幅200ppm以下の安定性を実現した。クライストロンの前段アンプは、高出力のGaN素子を用いたものを製作し、小型化と低コスト化を果たした。低電力RFシステムは、Micro-TCA.4規格のシステムを構築中で、信号の集約化と低コスト化を図っている。本発表では、Cバンド加速器のシステム設計と機器の開発状況について報告する。