THPI010  ビームダイナミクス  8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 13:30-15:30
ビームダイナミクス研究用小型イオントラップによる非線形共鳴励起試験
Preliminary beam-dynamics experiment on the excitation of nonlinear resonances using a modified Paul ion trap
 
○青木 将晃,伊藤 清一,岡本 宏己,檜垣 浩之(広大先端研)
○Masaaki Aoki, Kiyokazu Ito, Hiromi Okamoto, Hiroyuki Higaki (AdSM, Hiroshima Univ.)
 
広島大学は線形ポールトラップ(LPT)を応用した、国際的にも非常にユニークなビームダイナミクスの実験的基礎研究を進めてきた。この手法は強収束輸送系中の荷電粒子ビームとLPT中のイオンプラズマが物理的にほぼ等価であるという事実に基礎を置いている。四極電磁石の空間的配置に対応するパルス高周波電圧波形を生成し、LPTの四極ロッド電極に印加することで、任意の強収束ラティス中を伝搬する荷電粒子ビームの物理的挙動をコンパクトな卓上装置の中に再現できる。実際の円形加速器には四極電磁石とは別に、色収差補正のための六極電磁石や設置誤差等に起因する複雑な非線形場が点在している。これらの非線形効果を単純な四極構造を有する従来型のLPTで系統的に調べるのは原理的に困難である。この問題を克服し、より広範なビームダイナミクス研究を可能にするため、線形収束場とは独立に低次非線形場を制御することが可能な新型多極イオントラップを開発した。標準的なLPTに新たに四本の補助電極を挿入することで、線形収束場に加え、六極・八極磁場の強度と時間構造が自在にコントロールできる。本発表では、この多極イオントラップを用いた非線形共鳴励起実験の現状について報告する。