THPH033  電磁石と電源  8月1日 百周年時計台記念館 国際交流ホール 13:30-15:30
磁場強度に対する温度影響の検討と超均一磁場調整手法の開発
The effect of temperature on magnetic field and development of method to acquire super flat magnetic field
 
○杉田 萌,飯沼 裕美,大金 千織(茨城大学),佐々木 憲一,山口 博史,阿部 充志(KEK)
○Moe Sugita, Hiromi Iinuma, Chiori Ohgane (Ibaraki.U), Ken-ichi Sasaki, Hiroshi Yamaguchi, Mitsushi Abe (KEK)
 
J-PARCで計画が進んでいるミューオンg-2/EDM実験では、ミューオン異常磁気モーメント(g-2)の0.1ppmレベルの超精密測定および、電気双極子モーメント(EDM)の世界初の直接検出を目的としている。当実験では、線形加速器でミューオンビームを再加速したのち、小型ソレノイド磁石に蓄積する設計である。実験からの要請により、ビーム蓄積領域の磁場をサブppmの精度で調整する必要がある。具体的な目標は磁場強度(3.0T)と均一磁場(3cm幅、10cm高、半径33.3cmのシリンダ領域で±0.1ppm以下)であり、これを達成するために医療用MRIの設計手法を応用している。本番用の実機製作に先駆けて、KEK超伝導低温工学センターが保有する1.7Tで永久電流モード運転中のMRI用超伝導磁石(最大磁場2.9T)を用いて、直径30cm球内でサブppmの均一度を保つための基礎検討に取り組んでおり、現在0.45ppm以下の超精密調整を達成している。本発表では、超伝導磁石永久電流モードにおける磁場の時間変動と、磁石の置かれた環境における温度と磁場強度の相関評価を行う。さらに、ニッケル片や磁性流体を1.7T中に配置し、その磁気モーメントの評価を行うことで、現在よりも1桁上の精度で磁場調整するための受動的シミング手法について議論する。