THPH022  加速器応用・産業利用  8月1日 百周年時計台記念館 国際交流ホール 13:30-15:30
チェレンコフ-チャネリング放射の実験的検証
Observation of Cherenkov-channeling radiation
 
○高林 雄一(九州シンクロトロン光研究センター)
○Yuichi Takabayashi (SAGA Light Source)
 
チャネリングする電子(陽電子)は前方にX線・γ線領域の強力な放射を生成することが知られており,その放射はチャネリング放射と呼ばれている.一方,チェレンコフ角より大きい角度方向にも,可視域のチャネリング放射が生成されることが理論的に示されていた.ただし,その数値計算が複雑なことと,応用上,強力なX線・γ線源として,前方に放出されるチャネリング放射が注目されたことから,大きな角度方向に放出される可視域のチャネリング放射の研究は進んでこなかったが,最近になり,ロシアのトムスク工科大学の理論グループが,255 MeV電子がダイヤモンド結晶の(220)面をチャネリングする場合について,その放射の角度分布を計算した.それによると,SAGA-LSでも観測が可能であることが示されている.そこで,本研究では,まだ観測されていない可視域のチャネリング放射の実験的検証を目的とする.なお,この放射現象は,チャネリング電子から放出されるチェレンコフ放射とみなすこともできるため,チェレンコフ-チャネリング放射とも呼ばれている.実験は,SAGA-LSリニアックからの255 MeV電子ビームを,厚さ22ミクロンのダイヤモンド結晶に入射させて行う予定である.可視光の検出器として,光電子増倍管を用いる.予備的実験として,すでに可視域の遷移放射とチェレンコフ放射の検出に成功しており,現在,チェレンコフ-チャネリング放射の検証を目指し,実験を進めている.