THPH019  加速器応用・産業利用  8月1日 百周年時計台記念館 国際交流ホール 13:30-15:30
重粒子線小型シンクロトロン用超伝導電磁石の設計
Design of the superconducting magnet for a compact heavy-ion synchrotron
 
○藤本 哲也(加速器エンジニアリング),岩田 佳之,水島 康太,阿部 康志,浦田 昌身,野田 悦夫,白井 敏之(量研機構放医研)
○Tetsuya Fujimoto (AEC), Yoshiyuki Iwata, Kota Mizushima, Yasushi Abe, Masami Urata, Etsuo Noda, Toshiyuki Shirai (QST)
 
現在、普及型と呼ばれる重粒子線がん治療施設が国内に普及しつつあるが、専用の建屋を必要とする巨大で高コストな装置であり、これが普及の妨げとなっている。そこで放射線医学総合研究所では更なる装置の小型化、低コストを実現する量子メスの開発を進めている。量子メスプロジェクトの一つは超伝導技術を用いたシンクロトロンの開発であり、その超伝導電磁石の磁場設計を進めている。周長を短くするため二極、四極コイルを同位置に巻く機能結合型を採用し、二極磁場の起磁力を下げるため垂直方向を短軸とする楕円断面のコイル配置とした。最大二極磁場は4 Tとし、従来型シンクロトロンの半分以下の周長28 mで炭素イオンを最大430 MeV/uまで加速することを目標とした。超伝導線にはφ1の低損失型NbTiモノリス線を想定し、シンクロトロンに要求される磁場安定度が得られるようにコイル配置を決定した。また本シンクロトロンにおいてはコイルエンドに生じる六極磁場成分が大きなビームロスを起こす要因になることから、この低減に関する検討も行ったので本発表で報告する。