THOI01  レーザー/LLRF  8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホール 9:30 -9:50
NewSUBARUにおける高エネルギーガンマビームを利用したガンマ線誘起陽電子消滅測定装置の開発
Development of high energetic gamma beam induced positron annihilation apparatus at NewSUBARU
 
○杉田 健人(阪府大院),宮本 修治,寺澤 倫孝,橋本 智,天野 壮(兵庫県大高度研),梅澤 憲司,堀 史説(阪府大院)
○Kento Sugita (Osaka Pref. Univ.), Shuji Miyamoto, Mititaka Terasawa, Satoshi Hashimoto, Sho Amano (LASTI, Univ. of Hyogo), Kenji Umezawa, Fuminobu Hori (Osaka Pref. Univ.)
 
我々のグループは放射光施設NewSUBARUのガンマ線ビームライン(BL01)において、レーザーコンプトン散乱ガンマ線(LCSガンマ線)による陽電子消滅測定システムの開発を行ってきた。陽電子消滅法は空孔を観察できるナノスケールのプローブとして材料研究において広く用いられている。これまではLCSガンマ線をターゲットに照射し対生成で取得した高速陽電子成分を磁場によって分離し、試料に入射させる装置の開発を行ってきた。一方、NewSUBARUのLCSガンマビームは高い指向性とエネルギーを有しているため、評価対象試料に直接入射させることで、試料中で陽電子生成消滅が起こる。このような陽電子消滅測定をGiPS(Gamma induced Positron Spectroscopy)と呼ぶ。GiPSではガンマ線のエネルギーや試料の種類に依存して陽電子の生成効率および試料内を通過するガンマビームに沿った対生成と消滅の分布が異なる。そのため、LCSで生成するガンマビームのエネルギーに対するこれらのシミュレーションと実測の評価検討が必要である。今回、1 GeV電子とNdレーザーで発生させた17 MeVガンマビームを用いて純金属および照射損傷を与えた金属やアモルファス合金などのバルク材料に対するGiPSシミュレーションと実測を行った。これらの実験結果に加えて現在までの陽電子消滅測定装置の現状や今後の展望について報告する。