THOH05  電磁石と電源②  8月1日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール 11:10-11:30
J-PARC MRアップグレードのための速い取り出し用新高磁場セプタム電磁石
The new high-field septum magnet for upgrading of fast extraction in MR J-PARC
 
○芝田 達伸,石井 恒次,松本 教之,杉本 拓也,松本 浩(高エネ研),Fan Kuanjun(HUST)
○Tatsunobu Shibata, Koji Ishii, Noriyuki Matsumoto, Takuya Sugimoto, Hiroshi Matsumoto (KEK), Kuanjun Fan (HUST)
 
J-PARC MRでは速い取り出しのビームパワーを750 kWに増強するためアップグレードが進行中である。750 kWへの増強のためにはビーム運転周期を現在の2.48秒から1.3秒に短縮する。MRの入出射用電磁石システムも1.3秒周期への対応のためアップグレードを行っている。速い取り出し用高磁場セプタム電磁石は4台あり、この内3台について新しいセプタム電磁石に交換する。新しいセプタム電磁石には高繰り返しや大強度ビームが引き起こす問題に対処するためにさまざまな工夫が加えられた。磁極内用ビームダクトは渦電流を抑止するため現状のSUS材からセラミックス材に変更した。周回ビームダクトには大強度ビームのビームロスによる放射化を軽減するため純チタンダクトを採用した。3台の新高磁場セプタム電磁石は2015年に製作され、2018年の秋にその内の1台について通電試験を行った。試験項目は高繰り返し運転、磁極内磁場測定、周回ラインへの漏れ磁場測定である. 高繰り返し試験の結果、1.16秒周期で問題なく運転できた。磁極内磁場測定の結果、十分な磁場と積分磁場を確認したが完全対称であるはずのニュートリノ取り出し側とビームアボート取り出し側の磁場に0.4 %の差が有る事が判明した。漏れ磁場については設計通りの小さな磁場を確認した。但し磁極端部での漏れ磁場の更なる軽減のため磁気遮蔽の追加を検討している。本講演では高磁場セプタム電磁石の試験結果と課題について報告する。