SAOHK04  企画セッション  8月3日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール 11:30-11:50
電子線加速器を用いた小型中性子源での産業利用紹介と加速器への要望
Industrial applications and requirements for accelerators related to compact electron accelerator-driven neutron sources
 
○木野 幸一(産業技術総合研究所)
○Koichi Kino (AIST)
 
電子加速器を用いた小型中性子源は、日本国内では北大HUNSや京大KURNSが古くから稼働し現在も活躍している。加えて最近産総研施設内にも中性子源が構築されつつあり[1,2]、年内の稼働が予定されている。産総研設置の中性子源では、特に産業利用に注力しており、自動車などの輸送機器の軽量化に貢献すべく構造材料の分析などを行う予定である。これら3施設は、電子加速器から供給できるパルス状の電子ビームに起因したパルス状の中性子ビームを活用している。電子加速器を用いた小型中性子源は、低エネルギー陽子加速器中性子源に比べて、高い強度で時間幅が狭いパルス中性子ビームを発生するのに適している。この特性を活用して、産総研設置中性子源はパルス中性子ビームによる中性子波長分解型透過イメージングに最適化されており、様々な結晶情報について、試料である構造材料を組み上げたままでイメージングできる。このように電子加速器駆動の小型中性子源は有用である一方、電子加速器はサイズが大きくなる事や高価になる事も否めず、普及の障壁となっている。本講演では、電子加速器を用いた小型中性子源の特徴や、産総研設置の装置とその産業利用を紹介するとともに、更なる普及に必要な加速器側への要望についても議論したい。産総研設置の中性子源の構築は、産業技術総合研究所が新構造材料技術研究組合に参画して進められています。また、この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業革新的新構造材料等研究開発の結果により得られたものです。[1]産総研ニュース https://www.aist.go.jp/aist_j/news/au20170801.html [2]K. Kino et al., Nuclear Inst. and Methods in Physics Research, A 927 (2019) 407–418.