IPPH004  萌芽的加速器技術の提案  7月31日・8月1日・2日 百周年時計台記念館 国際交流ホール 12:26-12:28(WE_SO)13:30-15:30(WE/TH)10:50-12:50(FR)
軌道偏心加速器における遅い取り出しシミュレーション
Simulation of slow extraction from cotangential trajectory accelerator
 
○青木 孝道,羽江 隆光,中島 裕人,堀 知新,野田 文章,えび名 風太郎,平本 和夫((株)日立製作所)
○Takamichi Aoki, Takamitsu Hae, Yuto Nakashima, Chishin Hori (Hitachi, Ltd.), Fumiaki Noda (Hitachi, Lid.), Futaro Ebina, Kazuo Hiramoto (Hitachi, Ltd.)
 
従来、粒子線治療用の加速器としてシンクロトロンやサイクロトロンやシンクロサイクロトロンが用いられている。シンクロトロンは取り出しビームのエネルギー可変性と横方向RF印加によるビーム取り出しのON/OFF制御が容易である点が特長であり、サイクロトロンやシンクロサイクロトロンは小型な点が特長である。これらのメリットを両立する新概念の加速器として軌道偏心加速器を案出・提案した。新概念の加速器では各エネルギーの周回軌道が同心円ではなく偏心した配置であり、異なるエネルギーの軌道が密に集まる領域(集約領域)が形成される。本研究の目的は、新概念加速器において、陽子線治療に供する70MeV~235 MeVの範囲での取り出し可能性を評価することである。今回、集約領域の上流側と下流側の動径方向外側にそれぞれピーラー磁場・リジェネレータ磁場なる多極磁場を重畳することで、横方向RF印加による遅い取り出し法の実現に必要なセパラトリクスを形成する手法を考案した。Runge-Kutta法による粒子軌道計算によって横方向RF印加時のターンセパレーションを評価した。結果、70MeVのビーム取り出し時には最大ターンセパレーション8mmが確認され、後段にセプタム電磁石を設置することでビーム取り出しが可能となると考える。