FSPH008  施設現状報告ポスター1  7月31日・8月1日 百周年時計台記念館 国際交流ホール 13:30-15:30
SuperKEKB フェーズ3コミッショニング
Start of phase 3 commissioning at SuperKEKB
 
○大西 幸喜(高エネルギー加速器研究機構)
○Yukiyoshi Ohnishi (KEK)
 
SuperKEKB加速器は、陽電子・電子衝突型円型加速器である。電子と陽電子は、独立した2つの円形加速器に、エネルギー7 GeVの電子と4 GeVの陽電子を蓄積する非対称エネルギーのコライダーである。SuperKEKBプロジェクトは、bクオークを含むB中間子対を大量に作り出し、ごく稀にしか起きない物理現象を観測することで「新しい物理」を発見しようと試みる実験である。そのためには、大量の物理事象、すなわち生成能力の指標となるルミノシティを最終的には今までの加速器の最高値の40倍程度に高める必要がある。これを可能とするために「ナノ・ビーム方式」と呼ばれる新しい方式を採用している。このナノ・ビームでは、衝突点でビームを非常に小さく絞り込むことができる。現在、その被写界深度に相当する衝突点における垂直ベータ関数は、3 mmが達成されており、これは世界最小の値である。今回、フェーズ3の第一段階が2019年3月から6月末にかけて行われた。このフェーズ3の初期運転についての報告を行う。報告では、SuperKEKB加速器の設計思想、現段階におけるルミノシティ性能の達成点とここに至るまでに克服された困難などを紹介する。