FRPI029  レーザー  8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 10:50-12:50
チタン薄膜を用いたレーザー駆動イオン加速実験におけるCW レーザーによる標的表面処理の効果
Effect of surface treatment by CW laser on laser-driven ion acceleration using Ti foil targets
 
○近藤 康太郎,西内 満美子,榊 泰直,ドーバー ニコラス,ロウ ヘーゼル(量研),宮原 巧(量研,九大),渡辺 幸信(九大),ティグラー ティム,ツアイル カール,シュラム ウーリ(HZDR),ディーター エマ,ヒッグス ジョージ,エッティンガー オリバー,ナジュムディン ゾフカ(インペリアルカレッジロンドン),桐山 博光,神門 正城,近藤 公伯(量研)
○Kotaro Kondo, Mamiko Nishiuchi, Hironao Sakaki, Nicholas Dover, Hazel Lowe (QST), Takumi Miyahara (QST, Kyushu Univ.), Yukinobu Watanabe (Kyushu Univ.), Tim Ziegler, Karl Zeil, Ulrich Schramm (HZDR), Emma Ditter, George Hicks, Oliver Ettlinger, Zulfikar Najmudin (ICL), Hiromitsu Kiriyama, Masaki Kando, Kiminori Kondo (QST)
 
PW級のハイパワーレーザーをマイクロメートル程度ないしはそれ以下の固体薄膜に照射することで,10 MeV/u級の重イオン加速が発生し,物理学的にも利用応用の観点からも興味深い現象である.一方で,特段の工夫がない限り存在する固体薄膜表面に付着した炭化水素等が薄膜主成分の重イオンより先立って加速され,重イオンの加速効率低下を引き起こす課題を抱えていた.そこで,我々は小型のCW半導体励起固体レーザーを用いた固体薄膜の表面処理の研究開発を進めている. 今回,QST関西研にある高強度短パルスレーザーJ-KARENを用いて10^21 W/cm^2 を超える集光強度で厚さ 5 μm のチタン薄膜に照射する実験を行った.CWレーザー照射による固体薄膜への加熱により,加速された水素イオンの発生が抑制されたとともに,酸素イオンがCWレーザー未照射に比べて高エネルギーまで加速されていることがわかった.一般にチタンは非常に薄い緻密で安定な酸化被膜を形成することが知られている.この実験結果は,CW レーザーによる表面処理加熱を行うことで,水素を多く含む汚染層が除去されるとともに,熱分解困難な酸化膜が露出し,高強度レーザー相互作用によりその薄い酸化膜由来の酸素イオンが加速されたことを示唆している.