FRPI026  電子加速器  8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 10:50-12:50
KEK電子陽電子入射器制御システム
KEK E-/E+ INJECTOR LINAC CONTROL SYSTEM
 
○佐藤 政則(KEK加速器)
○Masanori Satoh (KEK acc.)
 
現在,KEKでは,KEKB加速器で到達した40倍のピークルミノシティーを目指し,SuperKEKB加速器のコミッショニング運転を進めている。本加速器では,このような高いルミノシティーを達成するため,蓄積電流値の倍増および衝突点での極小ビームサイズの実現を設計基盤とした,ナノビーム方式を採用している。ナノビーム方式では,主リングでのビーム寿命が極端に短いため,トップアップ入射は元より入射ビームのバンチ電荷量増強が必須となる。電子(陽電子)ビーム入射に要求されるバンチ電荷量は5 nC (4 nC)であり,KEKB入射器と比較して約5倍のバンチ電荷量が求められている。一方,ナノビーム方式を採用した主リングの低エミッタンス化にともない,入射器ビームの垂直方向エミッタンスは,従来の1/5である20 mm.mradが必要とされる。とりわけ電子ビームについては,ダンピングリングを用いずに低エミッタンスビーム入射を実現する必要があるため,高度なビーム制御技術が要求される。これらの要求を満足するため,新方式の光陰極RF電子銃を始めとした種々の技術開発が進められてきた。これと平行して,ビーム運転の可用性を高めるため,制御システムの高度化を推進してきた。本稿では,入射器アップグレードにともなう,ビーム制御システムの現状および今後の展望について報告する。