FRPI009  ビームダイナミクス  8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 10:50-12:50
大強度イオン線形加速器の基礎研究を目的とした卓上実験システムの開発
Development of a tabletop experimental system for the fundamental design study of high-intensity ion linacs
 
○小島 邦洸,伊藤 清一,檜垣 浩之,岡本 宏己(広大先端研)
○Kunihiro Kojima, Kiyokazu Ito, Hiroyuki Higaki, Hiromi Okamoto (AdSM Hiroshima Univ.)
 
加速器中を走行する荷電粒子ビームと線形ポールトラップ(LPT)中に捕捉されたイオン集団の運動は粒子間クーロン相互作用の影響まで考慮しても物理的にほぼ等価である.我々はこの事実に基づく小型イオントラップシステム“S-POD”を開発し,ビーム物理に関する実験的研究を幅広く展開している.これまでは円形加速器中の非常に長いバンチを模したイオンプラズマを生成して,主にビーム断面方向の所謂ベータトロン運動の安定性を実験的に精査してきた.外部ポテンシャルをできるだけ単純化すると共に,ベータトロン力学のみに注目するためシンクロトロン共鳴の励起も基本的には避けてきた.一方,線形加速器中の大強度ハドロンビームは一般に短バンチで,ベータトロン運動とシンクロトロン運動の力学的相関が顕著に現れる可能性が高い.シンクトロン振動のチューンも大きく,またビームエネルギーも比較的低いため空間電荷効果がより本質的な役割を果たす.このような線形加速器特有の状況も原理的にはLPTで再現可能できる.我々は今後の短バンチ実験を念頭に,イオン捕捉領域の軸長がアパチャー径と同程度のLPTを新たに設計・製作した.予備的なイオン閉じ込め試験を実施したので、その結果について報告する.