FRPH044  電磁石と電源  8月2日 百周年時計台記念館 国際交流ホール 10:50-12:50
1.3MWビーム出力に向けたJ-PARC主リング入射キッカー電磁石の数値シミュレーション
Numerical simulation of injection kicker magnet of J-PARC main ring toward 1.3MW operation
 
○杉本 拓也(高エネ研)
○Takuya Sugimoto (KEK)
 
J-PARCの30GeVメインリングには、上流の3GeV RCSから取出された陽子ビームをメインリングに入射するために、4台の集中定数型キッカー電磁石が設置されている。反射パルスを抑制するために、コイルにはインピーダンス整合用の抵抗器(15並列、合成抵抗 9.3Ω)ならびにコンデンサが接続されている。ビームがキッカーのアパーチャーを通過すると、コイルに電流が誘導されるため、整合用抵抗器に電流が流れ、ジュール熱により抵抗器が発熱する。抵抗器の温度上昇は、パルス通電とビーム誘導電流によるジュール熱、抵抗器の並列数、表面積、冷却による熱伝達係数、繰り返し周期とパルス幅から求められるデューティー比に依存する。2018年までの連続運転中に実施した抵抗器温度の測定結果から、1.3MW(陽子数3.34x10^14個、繰り返し周期1.16秒)のビーム運転により、抵抗器温度が350℃(パルス通電による250℃とビーム電流による100℃)上昇すると見積もった。抵抗器の最大定格温度150℃以下で安定に運転するためには、抵抗器の並列数と表面積、冷却効率を改善する必要がある。数値計算により、空冷ファンによる強制対流に加えて、抵抗器の内部にセラミックの丸棒を挿入することで、抵抗器の温度を下げる事が可能であることがわかった。本発表では、CSTを用いた抵抗器の数値シミュレーションの詳細について報告する。