FRPH031  加速器土木  8月2日 百周年時計台記念館 国際交流ホール 10:50-12:50
SuperKEKB電磁石の運転と冷却水のpHとの関係
Correlation between the pH of the SuperKEKB MR magnet water system and the magnet operation status
 
○大澤 康伸,植木 竜一,増澤 美佳(高エネ研)
○Yasunobu Ohsawa, Ryuichi Ueki, Mika Masuzawa (KEK)
 
SuperKEKB加速器は周長約3 kmのKEKBトンネルに、電子リングと陽電子リングの2つのリングを並べたダブルリング・コライダーである。両リングで使われる水冷式電磁石はKEKBからSuperKEKBへのアップグレードで約1750 台に増え、それに伴い電磁石用冷却水ポンプシステムも4基から8基へ増強された。 KEKBでは、2003年に大穂、日光、筑波エリアのポンプメンテナンス時に油が混入した事を発端にそれ以降流量低下が続出してしまった。また、2006年には冷却水システムのストレーナーに酸化銅の粉末が堆積する現象が見られるようになった。 SuperKEKB加速器となった現在でも、富士エリアを除いたすべてのエリアで不純物の堆積が見られ、その多くは酸化銅の粉末である。 不純物の堆積は冷却水流量の低下を引き起こし加速器の運転を妨げるだけでなく、冷却能力の低下による電磁石の破損も引き起こす可能性があるため、原因の特定が急務である。 無酸素銅コイル内を流れる冷却水のpHは銅の腐食レートを決める重要なパラメータの一つであるため、使用している純水のpHを月に1度採取し測定した。その結果、電磁石の運転に伴ってpHが変化することが分かり、特に運転中は酸性よりを示すことがわかった。 本発表では、2017年10月からの8エリアの冷却水のpH変動と加速器の運転の関係について報告する。