FROI06  高周波源/真空  8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホール 14:30-14:50
無酸素Pd/Tiを利用した非蒸発型ゲッターコーティングの開発と電子顕微鏡観察、剥離耐性評価
Development of nonevaporable getter coating using oxygen-free Pd/Ti, electron microscopic observation, evaluation of peeling resistance
 
宮澤 徹也(総研大),菊地 貴司(高エ機構),土佐 正弘,笠原 章,橋本 綾子,山中 操(物材機構),○間瀬 一彦(高エ機構)
Tetsuya Miyazawa (SOKENDAI), Takashi Kikuchi (KEK), Masahiro Tosa, Akira Kasahara, Ayako Hashimoto, Misao Yamanaka (NIMS), ○Kazuhiko Mase (KEK)
 
非蒸発型ゲッター(nonevaporable getter、 NEG)コーティングは、真空容器内面にNEGを成膜する手法である。真空容器をベーキングするとNEGが活性化して、容器からの脱ガスを抑制するとともに、O2、N2、CO、CO2、H2などの残留ガスを排気する。欧州原子核研究機構(CERN)のC. Benvenutiらが開発したTiZrVを加速管内面にコーティングする手法はCERNで素晴らしい成功を収め、現在では世界中の加速器施設で使われている。しかしながら、活性化において表面酸素をTiZrVの固体内部に拡散させる必要があるため、180℃以上の活性化温度が必要である。また、大気導入と活性化を繰り返すと排気性能が低下する、マグネトロンスパッタ法でコーティングするため大規模な設備と熟練技術者が必要である、などの課題が残されている。そこで我々は新しいNEGコーティング法として、超高真空中でのTiとPdの昇華を用いる無酸素パラジウム/チタン(Pd/Ti)コーティングを開発した。無酸素Pd/Tiは133 ℃程度の活性化で残留H2とCOを排気し、大気導入と活性化を繰り返しても排気速度が低下しない。また、コーティング装置製作コスト、ランニングコストが低く、熟練技術者も要しない。本発表では無酸素Pd/Tiコーティングの詳細と電子顕微鏡による観察結果、剥離耐性評価の結果について報告する。