FROH12  加速器応用・産業利用  8月2日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール 16:40-17:00
軌道偏心加速器における遅い取り出しシステムの検討
Study on slow extraction system in cotangential trajectory accelerator
 
○羽江 隆光,青木 孝道,堀 知新,中島 裕人,野田 文章,関 孝義,平本 和夫((株)日立製作所)
○Takamitsu Hae, Takamichi Aoki, Chishin Hori, Yuto Nakashima, Fumiaki Noda, Takayoshi Seki, Kazuo Hiramoto (Hitachi, Ltd.)
 
粒子線治療向け小型イオン加速器として、エネルギー可変の軌道偏心加速器を開発中である。本加速器は、固定磁場・周波数変調加速方式を用いるため、超伝導コイルが適用可能であり、シンクロサイクロトロンと同等以下に小型化できる。また、本加速器は、サイクロトロン型の螺旋軌道を一方に偏心させて軌道の集約領域を形成し、がん治療に必要なエネルギー帯(陽子70~225 MeV、あるいは炭素150~430 MeV/u)のビームを集約領域より取り出すことを特徴としている。このようなビーム取り出しの実現手段として、集約領域に配置するRFキッカーによる横方向RF電場と、ビーム周回軌道外に配置する固定磁場のピーラ・リジェネレータ磁場を組合わせて用いる取り出しシステムを考案した。この方法によれば、加速電圧の印加時間で取り出しビームのエネルギーを、RFキッカー電圧の印加パターンで取り出しビームのパルス長や線量をそれぞれ制御し得る。よって、シンクロトロンと同様にディグレーダが不要となり、ビームロス及びディグレーダ放射化に伴う不要放射線を低減できる可能性がある。本発表では、考案したビーム取り出し法の原理および必要となる加速器システム構成について述べる。