WEP104  LLRF  8月8日 大展示ホール 13:10 - 15:10
I/Qフィードバック制御における大電流ビーム負荷での空洞離調に対する位相補償機能
Phase compensation function for cavity detuning due to heavy beam loading in I/Q-feedback control
 
○小林 鉄也,赤井 和憲,中西 功太,西脇 みちる(高エネ研),林 和孝,水野 隼一(三菱電機特機システム),廣澤 航輝(総研大)
○Tetsuya Kobayashi, Kazunori Akai, Kota Nakanishi, Michiru Nishiwaki (KEK), Kazutaka Hayashi, Jun-ichi Mizuno (MELOS), Kouki Hirosawa (SOKENDAI)
 
 KEKB加速器の40倍のルミノシティを目指すSuperKEKB加速器では、新たにデジタル低電力高周波(LLRF)制御システムが開発され、従来の制御システムの一部が新システムに置き換えられた。これらは期待通り動作し、2016年のPhase-1コミッショニングの成功(約1Aのビーム蓄積と真空焼き)に大きく貢献した。今後更に大きな蓄積ビーム電流と低エミッタンス化が必要となる。今後LLRF制御において、大電流ビーム蓄積で懸念される事の一つが、大きな空洞離調である。ビーム励起によるリアクティブ成分を補償するため空洞の共振周波数を(電子ビームの場合)RF周波数より小さくする必要があるが、デザイン電流(3.6A)において必要な空洞離調度はRF位相にして約70度相当に達する。90度が共振器の最大位相変化であることを考えると70度は非常に大きい。一方、新しいデジタルLLRF制御システムではI/Q成分によるフィードバック(FB)制御を行なっているため、大きな空洞離調(位相変化)がビーム励起とは別に不安定を起こす可能性が懸念されている。そのため、蓄積ビーム電流(空洞離調)増加に応じてI/Q制御での位相を補償する機能を本システム(FPGA)に組み込んだ。本発表では、大電流ビーム加速における空洞離調度がI/Qフィードバック制御に与える影響を考察する。また、今回新たに組み込んだ位相補償機能についてPhase-2コミッショニングにて動作試験を行なった結果を報告する。