WEP043  粒子源  8月8日 大展示ホール 13:10 - 15:10
マルチイオン照射のためのガスパルシング法を用いたイオン種の切替
Switching technique of ion species with gas pulsing method at NIRS-HEC ion source for multi-ion irradiation
 
○髙橋 勝之,鈴木 太久,大内 章央,白石 直浩,佐々野 利信(加速器エンジニアリング(株)),村松 正幸,水島 康太,岩田 佳之(量研機構 放医研)
○Katsuyuki Takahashi, Taku Suzuki, Fumihisa Ouchi, Tadahiro Shiraishi, Toshinobu Sasano (AEC), Masayuki Muramatsu, Kota Mizushima, Yoshiyuki Iwata (QST-NIRS)
 
放射線医学総合研究所(NIRS)の重粒子線がん治療装置(HIMAC)では、治療用炭素を生成する10 GHz ECRイオン源(NIRS-ECR)の他、生物・物理実験に於いて様々なイオン種の供給を行う18 GHz ECRイオン源(NIRS-HEC)、小型ECRイオン源(Kei2)、PIGイオン源の4台のイオン源が稼働している。現在、NIRSでは数種類のイオンを標的に照射することで理想的なLETおよび線量分布を形成するマルチイオン照射を推進している。想定されるイオン種はHe、C、O、Neの4種類で、複数のイオン源を専有すれば比較的容易に切替可能となるが、今後の普及展開を見据えて1台でのイオン種切替を検討した。4種類のイオンを生成するため、イオン源に導入するガスはHe、CO2、Neの3種類とした。また、イオン源で生成するイオンは質量電荷比が重ならず、かつビーム電流を確保できるHe2+、C2+、O3+、Ne4+とし、ビーム電流の目標値はそれぞれ500 eµA、150 eµA、230 eµA、300 eµAとした。試験はNIRS-HECを用い、まずHeガスとCO2ガスをミキシングしてHe2+、C2+、O3+のビーム試験を行った。次にガスパルシング法、ガス配管への電磁弁追加など不要なガスの混在を防ぐ工夫を行った上でガス切替試験を行い、目的のビーム電流が安定するまでの時間を測定した。結果、ガスパルシング法によりイオン種切替時間の短縮に成功した。ここではガス配管構成の検討や試験結果について報告する。