WEOLP04  合同セッション  8月8日 合同会場 11:20 - 11:50
共振器型回折放射による広帯域テラヘルツ自由電子レーザーの発振
Lasing of a broadband THz FEL based on the resonant coherent diffraction radiation
 
○本田 洋介,島田 美帆,宮島 司,帯名 崇,山本 尚人,高井 良太,内山 隆司,アリシェフ アレキサンダー,加藤 龍好(高エ研)
○Yosuke Honda, Miho Shimada, Tsukasa Miyajima, Takashi Obina, Naoto Yamamoto, Ryota Takai, Takashi Uchiyama, Alexander Aryshev, Ryukou Kato (KEK)
 
テラヘルツ領域の電磁波は、基礎科学や産業での応用が期待されている。近年の電子線形加速器で実現できるサブピコ秒のバンチはテラヘルツ領域のコヒーレント放射を発生でき、特徴的な光源を実現できると期待されている。ここではコヒーレント回折放射(CDR)の過程を利用する。これは、ビームが電磁気学的境界の近傍を通過する際に発生する放射である。この方式では電子ビームを損失しないことから、ERL等の大電流加速器での使用も可能で、大平均強度の光源になると期待される。また、CDRはラジアル偏光をした特徴的なテラヘルツ光源となり得る。我々は、穴あき光学共振器にビームを通過して共振器の内部でCDRを発生させ、多バンチビームのバンチ間で放射がコヒーレントに加算するシステムを開発した。共振器の共鳴時には、既にある場の影響を受けて効率的に放射エネルギーを取り出すことができる。これは誘導放出と呼ばれる。広い帯域の共振器モードを同時に共鳴し、モードロックレーザーのような発振を実現するには、共振器のキャリアエンベロープ位相(CEP)をうまく設計する必要がある。ERLの試験加速器であるcERLでは、低エミッタンスかつ短バンチのビームが、高繰り返しで得られ、実証実験を行うのに適している。誘導放出による共振器の共鳴を観測した。鋭い共鳴ピークが得られ、共振器が広帯域のテラヘルツ光でモードロック発振することを実証した。