WEOL07  ビーム診断・ビーム制御/LLRF   8月8日 特別会議室1 17:30 - 17:50
SPring-8 アップグレードに向けたビーム位置モニタの開発
Development of beam position monitor for SPring-8 upgrade
 
○前坂 比呂和(理研放射光科学研究センター),出羽 英紀,藤田 貴弘,正木 満博,高野 史郎(高輝度光科学研究センター)
○Hirokazu Maesaka (RIKEN SPring-8 Center), Hideki Dewa, Takahiro Fujita, Mitsuhiro Masaki, Shiro Takano (JASRI)
 
SPring-8の低エミッタンスアップグレードに向けて高精度・高安定なビーム位置モニタ(BPM)を開発中である。必要な性能は、CODモードでは100mAの蓄積電流に対して0.1μm rmsの分解能と5μm/月の長期安定度、シングルパスモードでは100pCの入射バンチに対して100μm rmsの分解能、および、100μm rmsの電気中心精度となっている。これらの要求を満たすため、高精度なBPMボタン電極とBPMヘッドの設計・試作、および、読み出し回路の開発をおこなってきた。BPMヘッドの設計においては、必要な信号強度と機械精度が得られ、かつ、ビームによる発熱などの問題が起こらないよう十分考慮した。BPMヘッドは実験室での評価用とビーム試験用の2種類を試作し、模擬信号による評価と現SPring-8でのビーム試験の両方で評価をしている。読み出し回路は、MTCA.4規格の独自回路の開発と、市販回路であるLibera Brilliance+の評価とを並行して進めている。また、信号ケーブルの放射線劣化によるドリフトが現SPring-8で見られているため、耐放射線ケーブルの選定と放射線照射試験もおこなっている。これらの評価の結果、分解能・電気中心精度・長期安定度などの必要性能がシステム全体としておおむね満たされていることが確かめられ、発熱等の問題もないことが確認できた。本発表では、開発したBPMシステムの設計、試作、各種試験結果について報告する。