THP129  加速器応用・産業利用  8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
重粒子線治療装置のためのシンクロトロン用超電導電磁石の開発
Development of a superconducting magnet for synchrotron of heavy-ion radiotherapy system
 
○高山 茂貴,折笠 朝文,吉行 健,平田 寛(東芝エネルギーシステムズ),岩田 佳之,水島 康太(量研機構)
○Shigeki Takayama, Tomofumi Orikasa, Takeshi Yoshiyuki, Yutaka Hirata (Toshiba Energy Systems & Solutions Corporation), Yoshiyuki Iwata, Kota Mizushima (QST)
 
重粒子線(炭素イオン)によるがん治療は治療効果が高く、患者負担が小さいために近年普及が進んでいる。 一方で本治療システムはいくつかの大型装置を有しているため、さらなる普及拡大のためにそれらの小型化が必要となっている。これまでに大型装置のひとつである回転ガントリーに超電導技術を適用することで大幅な小型化を実現している。さらなる治療システムの小型化として、主加速器であるシンクロトロンへの超電導技術の適用を検討している。 本検討では先行例であるに超電導回転ガントリーの設計を基に検討を実施した。シンクロトロン用超電導電磁石はビーム軌道に沿って湾曲したコサインθ状の鞍型コイルを適用しており、磁場発生効率を上げるためコイル断面を楕円形状としている。また二極コイルと四極コイルを同軸配置することで機能結合化し小型化を図った。設計したコイルにおいて3次元磁場解析を実施し、高次成分を最外層の導体配置で補正することで均一磁場の発生を確認した。回転ガントリーと比較しシンクロトロンでは電磁石を高速に励消磁する。そのため発熱量を低減すると共に、発生電圧を低減する目的でフィラメント径は小さく、臨界電流値は高いNbTi線材を適用する事とした。計算された導体配置から発熱量分布を計算し、冷却条件についても検討を実施した。本発表においては上記シンクロトロン用超電導電磁石の検討結果について報告する。