THP128  加速器応用・産業利用  8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
電子ビームの傾き制御を用いたコヒーレントTHz放射の高度化に関する研究
Study on enhancement of coherent THz radiation using electron beam tilting
 
○蓼沼 優一,ブラメルド 真理,沈 奕瑋,村上 達希,坂上 和之,鷲尾 方一(早稲田大学 理工学術院総合研究所)
○Yuichi Tadenuma, Mari Brameld, Yiwei Shen, Tatsuki Murakami, Kauyuki Sakaue, Masakazu Washio (Research Institute for Science and Engineering, Waseda Univ.)
 
テラヘルツ光は電波と光波の中間の周波数帯に位置し,それらと比較して未だ光源や検出器などの開発が成熟していない電磁波帯である。近年フェムト秒レーザーや光伝導スイッチング技術の発展によりテラヘルツ光の研究が盛んになっている中で,我々は新たなテラヘルツ光源として電子ビームの傾き制御を用いたコヒーレントTHz放射の可能性を提案する。高速荷電粒子が媒質中の光速度を超えた際に放射されるチェレンコフ放射は,媒質の屈折率に依存した角度にピークを持つ。電子ビームの傾きを高精度に制御し,このチェレンコフ放射角と一致させることでコヒーレント放射を実現することが出来る。この方法では,電子ビームが媒質を進む距離と単位長さ当たりに放射される光子数の関係を調べ,ターゲット媒質の最適化を実施することが必要となる。高密度,高屈折率を持つ媒質としてシリコンを用いた先行研究では高強度なTHz光を得ることが出来なかった。そこで,シリコンの対称となる低密度媒質としてシリカエアロゲル,これらの中間に位置する媒質としてTOPASという高分子材料を用いることでTHz光強度の比較を行った。本発表ではこれらのターゲット媒質の最適化の結果,および今後の展望に関して報告する。